ぼくらは結婚して、家もお金も仕事も失った。それでもまるごと愛おしい、我らが人生!
39年連れ添った二人のオトコが、「結婚」を機に直面する笑いと涙を描く爽快な人間賛歌。

2011年に同性婚が合法となったニューヨークで繰り広げられる上質な大人の悲喜劇。物質的な豊かさを失ったカップルが見つける、何よりも価値ある幸せとは? 「人生にとって本当に大切なものとは?」という普遍的テーマを、洗練された演出と脚本で丁寧に紡ぐのは、『あぁ、結婚生活』のアイラ・サックス監督。老カップルが結婚を機に遭遇する不幸せと幸せを、時折ユーモアをまじえながら描き出していく。
画家ベン役に『愛と追憶の日々』のジョン・リスゴー、音楽家ジョージ役に『スパイダーマン2』のアルフレッド・モリーナ、ベンの親戚の女流小説家は『いとこのビニー』でアカデミー賞®助演女優賞に輝いたマリサ・トメイ。実力派の名優たちが奏でる爽快な人間賛歌は必見だ。 
マンハッタンのクラシックなアパートメントや、ブルックリンの屋上から見る景色など、随所に登場するニューヨークの美しい街並み。そして、ショパン、ベートーベン、ヘンリク・ヴィエニャフスキといったクラシックの名曲の数々が、主人公たちの人生を優しく抱きしめるかのように全編を心地よく包み込んでくれる。




本当に大切なものは何なのか? 
「愛する感情には性別など関係ない」という
人間の本質と真摯に向きあおう。

本作は、人生の様々な時点で愛について私たちが経験する出来事と、私たちが愛に期待するものを描く、数世代間にわたる物語。実はアイラ・サックス監督自身も画家ボリス・トーレスと9年間ともに暮らし、2012年に同性婚へと至った“経験者”なのだ。愛情関係というものが時と共に深まり、いかにして成長を遂げていくのか… それを映画にしたいと思ったのが、本作製作のモチベーションになっている。ちなみに、劇中に登場するベンの絵の数々は、監督のパートナーであるボリスの手によるものだという。

2015年、すべての州で同性婚を認めるという判断がアメリカ連邦最高裁判所によって下され、その祝祭ムードのなか米映画サイトThe Playlistが発表した「観ておきたいLGBT映画10本」のひとつに本作が選出。(LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーのこと)

●人生は小説よりも奇なり  (14年/アイラ・サックス監督)
●パレードへようこそ  (14年/マシュー・ウォーカス監督)
●アデル、ブルーは熱い色  (13年/アブデラティフ・ケシシュ監督)
●Weekend(原題)  (11年/アンドリュー・ヘイ監督)
●ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(01年/ジョン・キャメロン・ミッチェル監督)
●プリシラ  (94年/ステファン・エリオット監督)
●BLUE  (93年/デレク・ジャーマン監督)
●パリ、夜は眠らない  (90年/ジェニー・リビングストン監督)
●ベルベット・ゴールドマイン  (98年/トッド・ヘインズ監督)
●マイ・ビューティフル・ランドレット  (85年/スティーブン・フリアーズ監督)

なかでも“紅一点(!?)”の異彩を放つ『アデル、ブルーは熱い色』は、2013年のカンヌ国際映画祭で審査委員長をつとめたスティーヴン・スピルバーグが「偉大な愛の映画、そのひと言に尽きる」と大絶賛。「パルムドール(最高賞)」獲得に際し、通常は「監督」のみへ賞が贈られるべきところを、主演女優レア・セドゥとアデル・エグザルコプロスを加えた3名に贈られるという史上初の革命をもたらした。
異性との恋愛に違和感を抱く若いアデルと、ブルーの髪の年上女性エマ。瞬時に恋に落ち、愛しあう女性同士の濃密な肉体の交歓や、喜怒哀楽をぶつけあう感情が、名画を見るようにスクリーンに焼きつけられていく。特に、あふれでる愛の熱量を全身全霊で表現してみせた長時間かつ幾度となく営まれるフルヌードのベッドシーンは「史上最も美しい愛の衝撃度」というべき生々しさだ。二つの裸体は区別がつかないほど濃厚に絡まり、激しい息づかいや恍惚の表情からは汗ばむ体温までもが感じられる。愛の真髄を巧みに描き上げた魅惑的な官能の香りに酔いしれてみませんか? 

『アデル、ブルーは熱い色』予告編


(TEXT by Yasue Miwa 2016/3/10)




人生は小説よりも奇なり

2016年3月12日(土)公開
コムストック・グループ
http://jinseiha.com/

2014年/アメリカほか/94分
© Love is Strange, LLD

【ストーリー】
ニューヨーク、マンハッタン。39年来連れ添ってきた画家のベンと音楽教師のジョージは念願かなって結婚した。周囲のあたたかな祝福を受けて、二人の新たな生活は順調に始まるはずだったが――。同性同士の入籍が理由でジョージは仕事をクビになり、これまで絶妙なバランスで保たれていた生活はいとも簡単に崩れてしまう。保険、年金、不動産……現実問題が次々と押し寄せ、二人は長年暮らしたアパートメントを離れ、新婚早々に別居を余儀なくされる。ベンはブルックリンに住む甥のもとへ、ジョージはアパートの隣人で警官のゲイカップルのもとへ。社会からの根強い差別と肩身の狭い居候生活に心が押しつぶされそうになりながら、ベンとジョージはありのままの自分を理解してくれる人がいることの幸福に改めて気づくのだった。

監督・脚本:アイラ・サックス





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