アカデミー賞3部門受賞<主演男優賞・監督賞・撮影賞>
ゴールデン・グローブ賞最多3部門受賞<作品賞・監督賞・主演男優賞>
最愛の息子の命を奪われ、極寒の荒野に置き去りにされた男──復讐の先に、何があるのか。

過去4作品でノミネートされながら受賞を逃してきたレオナルド・ディカプリオが、ついに悲願のアカデミー賞主演男優賞を獲得!
壮絶なサバイバルの旅の果てに大自然の摂理を見出すハンター、ヒュー・グラスの魂の軌跡を、渾身の力をこめて熱演している。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でオスカー4冠に輝いたアレハンドロ・G.・イニャリトゥ監督は、本物のフロンティアの再現に強くこだわり、マイナス20℃の極寒の地でロケを敢行。人工的な照明を一切使わない自然光のみの撮影を行い、壮大な大自然を未だかつてないスケール感で映し出している。鬼気迫る演技と圧倒的な映像を、世界に誇る音楽家・坂本龍一が見事にまとめ上げている。



レオナルド・ディカプリオに悲願のオスカーをもたらした
魂に響く渾身の演技を見よ!
レオナルド・ディカプリオは、これまで4回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされている。過去には8度ノミネートされて一度も受賞していないピーター・オトゥールなどディカプリオを上回る不運なスターも数多くいる。41歳という若さから、ディカプリオがこの記録をいつか塗り替えるのではないかと危ぶまれていたが、この『レヴェナント:蘇えりし者』で、ついに悲願のオスカーを手にした。ディカプリオの自信に満ち溢れたスピーチを見て、私は、息子の成長を見守る母親のような気持ちになった。その感動的なアカデミー賞授賞式から早2ヶ月、日本の映画ファンはようやくGWにこの映画を観ることができる。
耳馴染みのない原題だけでは、どんな内容なのか想像ができなかったが、ストーリーはいたってシンプル。実話を基に描かれたすさまじいまでに苛酷なサバイバル映画であり、無残にも目の前で愛する息子を殺された男の復讐譚だ。
ディカプリオ演じるヒュー・グラスは、喉にひどい怪我を負った上に、ほとんど単独で行動するためセリフも少ない。またサバイバル・ストーリーであるがゆえに、その端正な顔立ちはひげで覆われクマの毛皮を着た薄汚い姿しか見られない。それでも彼の演技は過去のどの作品よりも印象深い。愛する息子の亡骸に身を寄せる姿、ようやく傷が癒え始め、何とか立ち上がり初めて水を口にするときの表情は、観ている者に多くのセリフよりも雄弁に語りかける。映画に無駄な説明はいらないことを改めて思い起こさせてくれる。
飢えに襲われて動物の内臓に食らいつくシーンや、追手が迫り凍てつく河を泳いで命からがら逃げのび、寒さに震える苛酷なシーンの演技はまさに鬼気迫るという形容詞がふさわしい。
思えば初めて『ギルバート・グレイプ』でディカプリを見たとき、本当の知的障害者かと思うほど、彼の演技力は目をみはるものがあった。ところがその後、何度もアカデミー賞候補といわれる度に肩に力が入り過ぎた過剰ともいえる演技で、オスカーを受け取る日はこないのかと思わざるをえなかったのだが、この映画によって、本来の彼らしい演技は見事に復活を果たした。

ディカプリオ以外にも、敵役フィッツジェラルドを演じる『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のトム・ハーディや『メイズ・ランナー』などに出演している期待の若手ウィル・ポールターら確かな演技力のイギリス俳優たちがこの作品の質を高めたことは間違いないが、アカデミー賞を3年連続で受賞したエマニュエル・ルベツキによる撮影がこの映画のもう一つの主役であるといっても過言ではない。
冒頭、森の中で急襲を受けるシーンでの、流麗で美しく、そして激しい動きのカメラワーク、この映画の前半の大きな見せ場であるクマに襲われるスピーディなシーン、そして、瀕死のヒュー・グラスを運ぶ一行を襲う寒さと絶望感を表現する深閑とした雄大な自然、映像が持つ力だけで無駄をそぎ落とした力強いメッセージを感じる。

『レヴェナント:蘇えりし者』はアメリカ映画ではあるが、80年代に観たアンドレイ・タルコフスキーやヴェルナー・ヘルツォークなど、ヨーロッパの監督の映画に強く影響を受けていると感じた。役者は目立ち過ぎず、映像の魅せる力と絶妙なバランスでストーリーが進行するからであろう。坂本龍一の重厚で華麗な音楽も物語に華を添えている。『ギルバート・グレイプ』でディカプリオの才能を引き出したのはスウェーデンの監督ラッセ・ハルストレム、そして本作の監督はメキシコ出身のアレハンドロ・G.・イニャリトゥだ。ディカプリオはアメリカ以外の監督との相性がいい。2時間37分の長尺だが、最後まで全く見飽きることのない娯楽作である。

(TEXT by Miyuki Homma 2016/4/16)




レヴェナント
蘇えりし者
The Revenant

2016年4月22日(金)公開
20世紀フォックス
http://www.foxmovies-jp.com/revenant/

2015年/アメリカ/157分
© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

【ストーリー】
1823年、アメリカ北西部を行く狩猟の旅の途中、ハイイログマに襲われて瀕死の重症を負ったヒュー・グラスは、仲間に置き去りにされたうえ、彼を助けようとした最愛の息子を殺されてしまう。激しい怒りと絶望を力に変え、奇跡的に死の淵から蘇りを果たすグラス。裏切り者の追跡を開始した彼は、燃えたぎるような復讐心を原動力に危険に満ちた極寒のフロンティアをひたすら前へと突き進む。想像を絶する過酷なサバイバルの旅を通じて新しい自分に生まれ変わっていくグラス。果たして彼は、復讐の旅の果てに何を見出すのか?ラストには、予想を遙かに超えた驚きが待ち受けている...。

監督・脚本・製作:アレハンドロ・G・イニャリトゥ





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