完全なる報復

完全なる報復
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完全なる報復 Blu-ray Disc 完全なる報復 Blu-ray Disc
(2011/07/06)
ジェラルド・バトラー、ジェイミー・フォックス 他

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★★★☆☆

クライドの妻子を惨殺した犯人が、検事ニックの独断による司法取引により極刑を免れる。
10年後、短い刑期を終えていた犯人が惨殺される。クライドは自分が殺したことを認め、
家族を貶めた司法制度の不備と整備を訴えた。そしてそれが出来なければ裁判に関わった者の
命はないと殺害を予告。これによりクライドは収監されるが、次々と暗殺は実行されていく。
ニックは、懸命に食い止めようとするが、共謀者の有無、独房からの凶行の謎さえ解けない。
その間にもクライドの正義の名の下に行われる復讐は続いていく。果たして結末は…。

このジェラルドさんはカッコウィーネ!

CoolもHotもRomanceもこなすジェラルド・バトラー。今作品では『Crazy』に挑戦。
復讐の鬼と化した主人公を演じ、犯人だけでなく司法そのものとの戦争を選んだ
主人公を、狂気の知性たっぷりに演じています。
そして相手役にはオスカー俳優ジェイミー・フォックス。これは期待大。

家族も『正義』すらも見失なった主人公は10年間もの間密かに大規模な復讐の時を伺い、
着実に、無慈悲に実行していきます。

特に妻と娘を殺害した主犯に対してはある罠によりテトロドトキシンを投与し廃工場へ拉致、
その後毒により意識や痛覚をそのままに身体を麻痺させられた主犯は様々な凶器でクライドに
惨殺されていく。簡単に死なないように処置され、じわじわと。

笑顔でボックスカッターを手にするクライド。
『これでお前のペニスを切り取ってやる』
おなおそろしや。

動けず恐怖を感じる犯人に対し、無機質な独り言を呟きながら殺害の準備を行う主人公。
この辺の主人公もかなりクレイジーですが問題はこの後。

過去の記録や状況証拠から身柄を確保されたクライドは、自らの事件にも明確な証拠が
無いことを逆手に取り様々な司法取引条件を打ち出します。
『新品のマット』『豪華な食事』など、一見検察側を挑発するような条件ですが、
この時すでに様々な復讐計画は実行され始めているんですね。

相手は10年前の裁判に関わった人間、そして司法制度そのもの。
後半に話が進むにつれて物語はどんどんスケールアップしていきます。

ハンニバル・レクターを始めとする知的なクレイジーキャラの面影を残していた前半
とはガラリと変わり、後半は主人公の執念と能力に驚く内容となって行くんですね。

例えば、実は国防省と一緒に他国のターゲットを暗殺する仕事をしていた主人公。
な、なんだってー!?

劇中も同業者が驚愕するほど超有能な暗殺技術を駆使したクライドにより造られた
携帯電話型のトラップ、自動車への爆弾、ミサイルやマシンガンを搭載した偵察ロボなど、
『どんだけー』な武器が続々登場します。

ただ面白いのがその間主人公クライドは常に収監されており身動きがとれないという点。
にもかかわらず着々と遂行される暗殺、検察側に広がる疑心暗鬼…。
『実はこいつ共犯なんじゃね?』と思わせる類のシーンが用意されていたのもよかったです。

個人的にはもっと不気味に、もっと静かに描いたら面白いんじゃないかなと思うテーマでした。
エドワード・ノートンあたりにハンニバル・レクター的な役をやらせて…ね?
そしてラストはこの映画とは逆の終わり方をして欲しいのです。



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