ブラック・スワン

ブラック・スワン
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ブラック・スワン 3枚組DVD&ブルーレイ&デジタルコピー(DVDケース)〔初回生産限定〕 ブラック・スワン 3枚組DVD&ブルーレイ&デジタルコピー(DVDケース)〔初回生産限定〕
(2011/09/07)
ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル 他

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★★★★☆

ニューヨーク・シティ・バレエ団のバレニーナ・ニナは、純真で繊細な“白鳥”と、
妖艶に王子を誘惑する“黒鳥”の二役を踊る「白鳥の湖」のプリマドンナに大抜擢される。
しかし優等生タイプのニナにとって“白鳥”はともかく、悪の分身である“黒鳥”に
変身することは大きな課題だ。初めての大役を担う重圧、なかなか黒鳥役をつかめない
焦燥感から、精神的に追い詰められていくニナ。さらにニナとは正反対で、“黒鳥”役に
ぴったりの官能的なバレリーナ・リリーが代役に立ったことで、役を奪われる恐怖にも襲われる。
ニナの精神バランスがますます崩壊する中、初日は刻々と近づいてくる…。

バレエロスリラー。

近作ではマイティ・ソーでも活躍のナタリー・ポートマン主演のスリラー。
まさに”主役”として文句のないパフォーマンスに圧巻ですね。

脇を固めるのは若手スターミラ・キュニス(『ザ・ウォーカー』、『マックスペイン』など)、
ベテラン仏俳優ヴァンサン・カッセル(『オーシャンズ13』、『ジェヴォーダンの獣』など)、
ハリウッド系プッツン女優ウィノナ・ライダー(『スター・トレック』、『若草物語』など)、
といった実力派メンバーが揃っています。
主人公の母親役のバーバラ・ハーシーさんも大変良かったです。怖いし。

変身するということ。

成長って意外にしやすいんですけど変身は難しい。
今まで身につけてきたものや感じるもの、価値観や視点を変える必要があるからです。
今作は、ある権威あるバレエ団のプリマとなった主人公ニナの変身をめぐる物語です。

母親からの『期待と嫉妬』を背負い、同年代の女性と比べ束縛気味の環境の中で
生活してきたニナは、女性として自立した性格や精神力が欠如した繊細な女性。
物語上では、持ち前の実直さと正確さから白鳥役は美しくこなせる彼女ですが。
大胆さと妖艶さが必要な黒鳥役に感覚が届かず苦悩の日々を送るんですね。

そんな中、女性としての魅力や官能的なダンスをこなせるリリーとの出会いが
更にニナを追い詰めていくことになります。
そりゃそうですよね、自分に持ってない物を沢山持ってるライバルが現れるんですから。

人付き合いも苦手、そして他のメンバーの魅力や経験を理解出来ないニナに
リリーのダンスを吸収し学べるはずもなく、ライバルへの焦りだけが募ります。

正直この辺は観ていてイライラします。その辺がナタリーの物凄いところ。
映像的にも焦りや緊張感、可能性と戦う恐怖が伝わってきます。

中盤では変身というより別の精神に”飲み込まれる”という表現が合っている気がします。
だんだんと精神がすり減り、不可思議な現象に襲われ支えのない彼女は更に不安定に。

“破壊”

結果から言えば、彼女は立ちはだかる壁を”破壊”し打ち破ることで”変身”します。
第三幕で見事な”黒鳥”を演じ多くの観衆を魅了し、自らも成長を感じ取るニナ。
そして彼女は物語のフィナーレである第四幕へ向かう準備に入ります。

この時のナタリー・ポートマンの表情がとんでもなくすごい。
押さえようのない悲しみか、これまで感じたことのない喜びなのか。

その後、物語はフィナーレを迎え、大歓声の中閉幕するスワンレイク。
コーチ、ライバルダンサー、観衆、母親、全てを乗り越えたニナの心境はいかに…。
映画のラストはいくつもの受け止め方がある良作だと思います。

しかしこういう『演者が演者を演じる』二階層の映画って面白いんですよね。
一作で二度おいしい気分になります。
ギャラクシー・クエスト』なんかは『演者が演者をする演者を演じる』(わかりにくいかな)
三階層映画なので本当楽しいですよ。

ナタリー・ポートマン自身も近年かなり勢力的な活動で女優としてのレベルも
グイングイン上がっておられるように思います。将来は確実に大女優でしょうね。
気軽に『カワイー♪』『キレー!セクスィー☆』とか言えなくなりそうです。



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