パーフェクト・ワールド

パーフェクト・ワールド
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パーフェクト ワールド [DVD] パーフェクト ワールド [DVD]
(2010/04/21)
クリント・イーストウッド、ケビン・コスナー 他

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★★★★☆

1963年秋のアメリカ合衆国テキサス州。刑務所から脱獄したテリーとブッチは、
逃走途中に民家へ押し入る。彼らは8歳の少年フィリップを人質に逃亡するが、
ブッチはフィリップに危害を加えようとしたテリーを射殺し、2人で逃避行を続ける。

良き時代のケビン・コスナー。

俳優業、監督業も含めすでに映画界の至宝であるクリント・イーストウッドと
ケビン・コスナー主演のロードムービー。
似た境遇を持つ脱獄囚と人質の少年の交流と逃避行を描いた作品ですが、全体的に
重すぎず、意外なほど緩やかなシーンも多くなっています。

本来重たいはずの内容を各所に用意されたキャラクターが緩めているような印象です。
イーストウッドが演じる警察署長に同行するローラ・ダーン扮する犯罪心理学者サリーなどの
メンバーからもユーモアを感じます。
おでこに『FBI』ってかいてあるんじゃなかろうかというほどの風貌で登場するFBI役の
マヌケっぷりなども『けして緊迫感だけでは無い追跡劇』に一役買っています。

一方、同じ脱獄囚であるテリーの暴走によってフィリップ少年を人質にして逃走するハメに
なった主人公ブッチは幼少の記憶により理不尽な大人、特に子供に圧力を加える大人が大嫌い。
道中、またもや暴走したテリーを射殺し、フィリップ少年と二人きりの逃亡を続けます。

父親に捨てられた上過酷な生活環境と少年院で育ったブッチと、同じく父親が不在の家で
厳しい戒律に縛られているフィリップは次第に共感しあい、不思議な相棒となっていきます。
この二人の道中もどこかユーモラスで、二人が出会う人物たちもゆるいキャラが多いです。

二人が目指すのは、ブッチがただ一度父親の優しさを感じた絵葉書に描かれたアラスカの地。
この場所こそが『パーフェクト・ワールド』なのでしょうか。
いやいや、それでは『ウォーターワールド』でケビン・コスナーが目指した『ドライ・ランド』の
安易な位置づけと同じことになってしまう。

もっとこう、父親的な精神が芽生えたブッチと彼に父親を感じたフィリップの前進的な精神の
交流、互いを補完する空間そのものがパーフェクト・ワールドだったのかも知れませんね。
未見の方は彼らの旅路に待ち受けるクライマックスをぜひご堪能下さい。

超愛らしい演技で終始魅了してくれたフィリップ少年も今やイケメン青年!



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