デビル
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デビル [Blu-ray] デビル [Blu-ray]
(2011/11/23)
クリス・メッシーナ、ローガン・マーシャル=グリーン 他

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★★★☆☆

ロザリオを握りしめた男が、高層ビルから転落死した。現場に急行した刑事は
自殺と断定するが、時を同じくしてそのビルのエレベーターに、5人の男女が
閉じ込められた。警備員が調べても異常は発見できず、いたずらに時間だけが
過ぎていく。そんな中、不意にエレベーター内で停電が起こり、わずかな間に
5人のうちの1人が無惨な死を遂げる。自殺の一件を調査していた刑事が、
急遽エレベーターの死亡事件の指揮を執る事になるが…。

M・ナイト・シャマラン監督のオカルト・パニックということもあって
借りてみた本作、良くも悪くもシャマラン節という内容でございました。

煽りがいい。

作中登場する“煽り虫”と言う単語が似あうのがシャマラン監督本人でしょう。
前半は静かに、不気味に忍び寄る不条理が緊張感を保って迫ってきます。
本当、こういった序盤からの『これから何が起こるの?』という感じはどの作品
でも共通する感覚ですよね。

高層ビルのエレベーターの故障で”カゴ”の中に閉じ込められた男女5人。
互いの素性も知れず、性質も違う彼らはエレベーター内の閉塞感や緊張感
も相まってどんどんイライラが募っていきます。
修理による停電が起きた瞬間、彼らの一人が不可解な怪我をしたことから
“カゴ”の中にさらなる不穏な空気が訪れます。誰が犯人かも分からず、
さらに緊張した時間を過ごすことに…。

そこに、別の自殺事件を担当していた刑事が、まるで誘われるように
エレベーターの傷害事件を、担当することになります。
しかしながらエレベーターは未だ停止中、”カゴ”の中に設置されたカメラと
音声を通じて彼らと接触することになります。

しかし次の停電時、エレベーター内の一人が暗闇の中何者かに殺害されてしまう。

爆発する疑心暗鬼、混乱するエレベーター内とカメラを見つめる一行。
そこで、ビルの警備の一人がつぶやきます『ヤツや、ヤツが来たんや』
もちろん関西弁ではありませんが、要は『人の姿をした悪魔が、嘘つきや罪人の魂を
奪いにやってくる』
のだとか。

なんでも悪魔が来ると『パンを投げればジャムのついたほうが下に落ちるし
子供が転べばテーブルにぶつかってしまう』
とのこと。

『な、なんて恐ろしいんだ悪魔よ』
しかもやっていることが若干ジグソウさんとかぶっているじゃないか。

信心深く、昔から悪魔についての存在を信じてきた警備員は一生懸命語りますが
もちろん皆さんこんな与太話は間に受けたりしません。しかし、救助作戦の一方で
彼らの隠された素性が明らかになっていきます。暴行犯、スリの常習犯、詐欺師…。
そして起こるのは次の事件…果たしてこれは本当に悪魔の仕業なのか…結末は如何に?

~~~ 予告編後ネタバレあり ~~~

次々と起こるエレベーター内の不可解な殺人事件。さらに、
エレベーターに近づき、結果的に悪魔の邪魔をする整備工や警備員も
犠牲になる中、誰もが異常な存在を信じ始めます。

一方、不可解さは感じつつも互いが犯人だと疑うエレベーター内の空気は
もはや限界を迎え、殺るか殺られるかの最悪の雰囲気を迎えています。

その時…再び停電。

最期に残るは男一人、そして現れる災の正体。全てを悟り、ひき逃げで人命を
奪った過去を懺悔し自らへの断罪を求める男と彼を見つめる”悪魔”。
その男に一言つぶやき、闇へと去っていった悪魔…。

この時の一言はマジで蛇足。邪魔以外の何でもない。

救出作業が進み、ラストで対峙するのはひき逃げを懺悔した男と彼によって
家族を失ったことが分かった刑事の二人。

この辺の展開も全部セリフに出しちゃうんだもんなぁ。

シリアスで不条理な物語ですが、説明臭いセリフやナレーションにより、
大体の謎は解けてしまい、解釈の数もそうそう多くない本作。

もっとこう。。『起承転転』とした作品を期待しただけにやや拍子抜けです。
ただ、オカルトものとしては見良く楽しめる作品でございます。

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