サンキュー・スモーキング

サンキュー・スモーキング
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サンキュー・スモーキング (特別編) [DVD] サンキュー・スモーキング (特別編) [DVD]
(2010/06/25)
アーロン・エッカート、マリア・ベロ 他

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★★★★☆

タバコ研究アカデミー所属のPRマン、ニック・ネイラーの使命は、得意の話術で
タバコ業界への手厳しいバッシングをかわすこと。その巧みな論理のすり替え
テクニックから「情報操作の王」と異名をとる彼の評判はすこぶる悪いが、
一人息子のジョーイだけはそんな父親を尊敬していた。訴訟を未然に防ぎ、
反タバコ法案を掲げる上院議員をやり込め、ハリウッドをも巻き込むあの手
この手の戦略を展開するが、思わぬ落とし穴が待っていた…。

アーロン・エッカート(『世界侵略: ロサンゼルス決戦』、『ダークナイト』など)
マリア・ベロ(『ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝』、『アサルト13 要塞警察』など)
キャメロン・ブライト(『ウルトラヴァイオレット』、『バタフライ・エフェクト』など)
他にもロブ・ロウ、ケイティ・ホームズ、ウィリアム・H・メイシー、
デヴィッド・ケックナーなどなど、豪華な面々が登場します。

大衆社会での武器は表現力?

話術を武器にするお仕事、ロビイストが主人公の物語です。
ネゴシエイターでもあり、そのハイレベルなディベート能力から「情報操作の王」
などと異名をとっているタバコ業界ロビイストのニック・ネイラー。

『タバコは害のあるもの』という社会情勢のなか、決してその健康被害を否定せず、
なおかつ論点を少しずつずらして目の前の相手をやりこめる、または問題定義を転換
することで大衆を注目させ、自らの見方につける、というまさに皮肉で口八丁な
シーンが登場します。

自らは仕事へのやり甲斐や意義は感じているものの、タバコへの信仰心的な視点は無く、
あくまで「仕事は生活、ローンのため」と言い切り、一人息子のジョーイを大切にする
良き父親の面も見られます。

夜な夜な行われるロビイスト仲間との会合シーンは印象的。
銃器販売メーカー、アルコール販売メーカー、そしてタバコメーカーの各ロビイストが、
社会への本音や現状をユーモアたっぷりで面白おかしく話してますね。
これがまた互いの仕事の理解者でもあるので主人公が「ある窮地」に陥った
際にも、簡単には離れない絆というものも見られました。

タバコへの印象操作の為に、ハリウッド映画界に入り込んだ周辺のやり取りは秀逸。
ブラッド・ピットとキャサリン・ゼタ=ジョーンズのベッドシーンにセクシーな
喫煙シーンを盛り込むことでイメージアップを図る、なんて計画を真剣に交渉する
関係者たちが楽しい。事実、スポンサー抜きでは映画は作れないのだからこういった
交渉はタバコにかかわらず進められているのでしょうね。

そうして、時にはガン患者や議員までやり込める「超やり手」の彼ですが、決して
無機質ではなく、人間らしい姿で描かれていたのが好印象です。
息子であるジョーイに対しても、ロビイスト的な話口を教えている彼ですが、
決して彼の選択権を奪わず、口八丁で教育を行う父親でもなさそうです。
あ、他所の子供は別です(笑)

さて、言葉の面白さも多く扱った今作ですので、人前でプレゼンすることの多い
人にはちょっとしたヒントが含まれているかもしれません。
実際僕はちょっと勉強になりました。

あ、映画内に喫煙シーンが一切出てこないのも面白いですね。
日本の喫煙事情や大衆の扱いが違うのを考えながら見ると余計楽しめるかも?



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