ゾンビ革命 -フアン・オブ・ザ・デッド-

ゾンビ革命 -フアン・オブ・ザ・デッド-
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ゾンビ革命-フアン・オブ・ザ・デッド- [DVD] ゾンビ革命-フアン・オブ・ザ・デッド- [DVD]
(2013/03/02)
アレクシス・ディアス・デ・ビジェガス、ホルヘ・モリナ 他

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★★★★☆

40歳になっても、まともに働こうともしないフアン。親友ラサロと怠惰な日々を
過ごしていたが、人々が突如として凶暴化して襲撃し合うという異常事態がキューバの
首都ハバナで起きる。新たな革命か反体制派による蜂起かと思われたが、徐々にフアンと
ラサロは凶暴化した集団がゾンビであることに気付く。恐怖と混乱が街に忍び寄る中、
フアンはゾンビ化した近親者を殺せないでいる人のための代行殺りくビジネスをスタートさせる。
しかし、ゾンビが次々と増殖していき……。

キューバ発&初のゾンビ映画です。

いやぁこれは良作。ゾンビ映画としてのツボや土地勘を生かした設定や
脚本には脱帽と言えるでしょう。
キューバというロケーションや政治的背景を、一見ただの変わった怠け者
である主人公たちに背負わせたのはかなり匠です。映画として楽しめます。

本作、画質や演者さんも素晴らしいですし、ゾンビさんたちの動きやメイクも
なかなかに凝っていて全体的な安心感に包まれています。
その反面、全編通してコメディ、ブラックユーモアの要素が非常に強い。

怠惰な生活が一変、あふれるゾンビに囲まれた主人公フアンたちが始めたのは
お金をもらってゾンビを倒すという「フアン殺人代行社」。
個性的な仲間と共に商売を軌道に乗せつつある彼らですがそんなに甘くお話が
続くはずもなく…。

とにかく仲間のキャラクターも素晴らしい。
主人公フアンと親友ラサロの掛け合いだけでもかなり秀逸ですがその他の
仲間の存在は非常に重要で楽しいポイントです。

パチンコが得意で筋肉質なオカマさん「チナ」、血を見ると気絶してしまう大男「プリモ」、
唯一のイケメン担当「カリフォルニア」、フアンの娘「カミーラ」などなど、かれら全てが
この作品を彩る素晴らしい個性を持っています。
全員無駄に戦闘能力が高いところが妙に笑えます。
しかしカミーラは可愛かったなぁ。本当好き。超好み。

笑いの要素が強いゾンビ映画にありがちな全体的な安っぽさもありません。
妙にシリアスになってダレていくシーンもありませんでした。
廃れた街なかのシーンやゾンビで溢れる海岸線など、各種ロケーションの
質感も高く、予算のかけ方や技術の振り分けも良かったんだなぁと感じます。

コント仕立てのシーンが所々に散りばめられていて、それが派手だったり
ゆるかったりとバラエティに富んでいるので飽きずに楽しめます。

今後は『キューバは野球だけじゃない!ゾンビ映画だって面白いんだ!』
と胸を張って言うことができますね。

あとは映像モラルの欠如をどう捉えるかです。

この作品、決して人の命の重みをしっかり取り扱っているわけではありません。
そもそも主人公フアンが立ち上げたのがゾンビを始末する殺人代行社ですし、
親友ラサロは弾みで普通の人間を殺してしまうことも…。
一行が明確な正義を持って戦うこともありませんしその辺はかなりゆるめ。

まぁ実際その点に関して文句を言う人は居ないとは思いますが一応
その辺が注意点でしょうか。

私としては非常にアタリなゾンビ映画でした。
きっと多くの方に愛される作品なんじゃないかなと思います。

ラストシーンもカッコ良かったなぁ。
まさか余韻まで残してくるとは…脱帽です。



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