ネズミゾンビ

ネズミゾンビ
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ネズミゾンビ [DVD] ネズミゾンビ [DVD]
(2008/10/08)
ニック・ダミチ、アントン・ペイガン 他

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★★★☆☆

マルベリーストリートの地下でバイオネズミが繁殖していた。
ある日、バイオネズミに咬まれた浮浪者が、顔面がネズミと化す
“ネズミゾンビ”へと変貌する。そして次々と感染は広がり…。

こちらも邦題で損をしている良作。

さて、ゾンビです。ネズミゾンビです。
ニューヨークはマンハッタンの貧乏アパートを舞台にしたパニック
ムービーに仕上がっています。
低予算ながらキャラクターの描き方やゾンビ(ウィルス感染者)の
演出などはなかなかのもので結構見応えがありますね。

主人公は元ボクサー。寡黙な雰囲気だが優しさと包容力のあるタフガイ。
一見フレディー・マーキュリーっぽい外観でなかなかかっこよろしい。
彼を演じるニック・ダミチは、今後相手をゾンビからヴァンパイヤに移した
ステイクランド 戦いの旅路』で多くの映画ファンを唸らせることになります。

中盤までは、そんな主人公を取り巻く環境や、周りの人間関係、そして
イラク戦争から帰還中の娘との再会に視点を向けてじわじわと物語が進みます。

そして感染拡大へ。

謎の連続殺人のニュースから一転、感染力が強く人を凶暴化させるウィルスの
拡大を伝える各メディア。このウィルスは感染者のビジュアルもネズミっぽく
変化させるので、この辺が今作の邦題につながったのでしょう。

さて、生活環境からなのか割りとのんびりしたマルベリーの住人たちですが、
自身の周辺の状況が怪しくなってからの展開は意外と早いです。

わけありの母子家庭に酸素ボンベなしでは生活できない退役老人、
人情味のあるアパート管理人に割りと深いセリフを言うオカマなど、
素材としても絵的にも面白いキャラクターたちがゾンビ相手に奮闘します。

今作の特徴の1つとして、全く重火器のシーンが無い点が挙げられるのですが、
狭い建物に次々と現れる感染者の群れに、頼れる武器が殆ど無い状況はかなり絶望的です。
しかしながら、安い映画によく見られる合成マズルフラッシュのショボイ映像や、
取って付けたような軽い発砲音でげんなりすることはありません。
武器は無くても躍動感のある抵抗が観られました。

もう1つの特徴として、基本的に各キャラが仲違いするシーンや人間関係が揉める部分が
無いので、主要人物が悲劇的な最期を遂げていくラスト周辺はかなり哀愁的でしたね。

肝心のラストシーンも切なさ満点です。
ボクサーという設定が最も生きた瞬間では無かったでしょうか。

なかなかオススメではありますが、ライトなゾンビユーザーにはまだ後回ししたい作品。
まずは純粋に楽しめるゾンビ映画を見た後にこういった哀愁的ゾンビ映画を愉しみましょう。



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