ゾンビ大陸 アフリカン

ゾンビ大陸 アフリカン
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ゾンビ大陸 アフリカン [DVD] ゾンビ大陸 アフリカン [DVD]
(2012/07/04)
ロブ・フリーマン、プリンス・デビッド・オセイア 他

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★★★☆☆

死者≪ゾンビ≫が歩き出してから数週間後のアフリカ大陸―。駐留アメリカ軍は撤退。
エンジニアであるブライアン・マーフィー中尉も最後の撤退機に乗っていた。
だが、その機内で乗客がゾンビ化。飛行機は、暗黒の地を離れること無く墜落してしまう。
同じ頃、ある村ではゾンビ・アウトブレイクが発生。村の出身者で西アフリカ軍の
兵士デンベレが不在の最中、家族が次々と死者のえじきとなるが、彼の息子は奇跡的に生き残る。
一方、墜落事故から唯一生存したブライアンは、母国・アメリカの愛する家族のもとへ帰ろうと
米軍基地を目指す。それには広大なサハラ砂漠を横断しなければならない。そんな中、
ブライアンは息子を捜すデンベレと偶然出会い、二人は協力してゾンビ大陸と化したアフリカ
からの脱出を試みる。

うーんすごくいいですね。
なんといってもロケーションの良さは素晴らしい。
眼前に広大に広がる荒野、砂漠、山岳地帯など、さまざまな場所で
サファリパークのように登場するゾンビたち。
たとえゾンビがいなくてもサバイバルが困難な土地での展開は常に
緊張感がありましたね。

ストーリーは非常に真面目で正統派。
よくあるB級映画的なノリだとかブラックジョークなどは一切ありません。

敵同士だった男二人がそれぞれの目的のために行動を共にし、絶望的な
環境の中で力を合わせることにより、信頼や情を持ち始めるという硬派な展開。

主人公二人の会話も非常に淡白で哀愁があります。
べらべらと身の上話をするわけでも、大げさに慰め合うでもなく、とても少ない
言葉の中で感情の表現を行なっていました。

会話以外にも、映像的な浮き沈みも少ないのでとても短調な映像なのですが、
ゾンビだらけのサバンナをいつ壊れてもおかしくないポンコツ車と、少ない重火器、
僅かな食料だけで移動し続けるというだけでかなり危機的状況ではあるので、
私としてはさほど退屈することはありませんでした。

淡白な映像の中で主人公二人の信頼感が上がっていく中、”きっとこの映画は悲劇的な
方向に行くのだろうな”という静かな悲しみが伝わってくるような気もします。

全く聞いたことのない俳優さんたちですが、かなりいい味を出していましたね。

さて、濃ゆいロードムービー的な楽しみ方ができる作品ですが、
ゾンビ映画としての表現もなかなかのものです。
表情のないノロノロ系ゾンビではありますが、その圧倒的な数や広大な行動範囲
にはさすがに恐怖を覚えます。
決してスプラッター表現も少なく無いですし、ゴアなシーンも数多く用意されています。
重火器で倒されるシーンだけでなく、ナタでメッタ斬りになるシーンや車で跳ね飛ばされる
シーンがあったりと、この辺の描写にもこだわりを感じます。

出会いや別れ、希望と絶望で紆余曲折しながらたどり着いたラストは…?

これがノリで作られたB級映画ならあのラストはちょっと頂けなかった
かもしれませんが、この映画としては許せるのではないでしょうか。
むしろこれしかないような気もします。

少年誌の打ち切り漫画があんな感じで突然終わったりしますよね。

さて、総評としてはとても良作ゾンビ映画だと思います。
しかし、ノリや緩急のあるゾンビ映画が好きな人が多いのも現実です。

と、すると割と静かで淡々とした映像の多い今作が苦手な人も多いことでしょう。
ゾンビ映画ファンにはおすすめしたい作品ですがどうか自己責任でぞうど。



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