ムカデ人間
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ムカデ人間 [DVD] ムカデ人間 [DVD]
(2012/02/03)
ディーター・ラーザー、北村昭博 他

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★★★★☆

ヨーロッパを旅行中の2人の美しいアメリカ人女性。車で移動中、ドイツの
森の中で突然タイヤがパンクし、夜の闇の中で立ち往生してしまう。助けを
求めてさまよった2人は、一軒の大邸宅にたどり着いた。次の日、目覚めると
そこは地下に作られた病室のベッドの上。隣には彼女たちと同じように、
日本人男性が寝かされている。家の主であるドイツ人男性は、かつてシャム双生児の
分離手術を専門とする外科医だったという。だが、彼の新たな3人の“患者”たちは、
恐るべき手術によって、“分離”ではなく“結合”されようとしていた。男は、
人類史上初めて人と人の胃腸をつなぎ合わせることを計画し、“人間ムカデ”を
創り上げるという生涯の夢を実現させようと企んでいたのだ。

確信犯的なマジキチ。

投薬の上に拘束され、身動きが取れず状況すら把握しきれないなかで
淡々と行われる”ある手術”の説明。
動きの制御のために膝の腱を切除、その後検体A,B,Cを結合、結合部分は
肛門と口。検体Aの排泄物をBが、検体Bの排泄物をCが摂取することによる
異なる生命の結合を実現する。

当事者であれば聞いているだけで発狂しそうな内容である。
そして、緊迫感ある抵抗も虚しく決行されるマッド・サイエンティストの
夢の実現。完成された”ムカデ人間”と出会うことになります。

本来出落ちとも言えるイロモノ映像が展開されるとおもいきや、
非常に作りが良い脚本と演技が映し出されたのに驚きを覚えました。
特に神経質で狂気の塊であるハイター博士の演技は素晴らしいの一言。
共演者インタビューでは本人の役者魂、職人魂も伺えます。

ハイター博士は吹替版で人気声優の若本規夫氏が声を担当しておられます。
もともと予告編ナレーターだったのですが急遽抜擢されたとのこと。
正直言ってこの声、かなり良かったです。最高のハマり声でした。

さて、主人公の一人であり”ムカデ人間”の先頭であるカツロー役の北村昭博氏
の演技も非常によろしい。ちょっと笑ってしまう日本語もあるのですが
自分なりの設定をフルに活用した結果ではないでしょうか。
話によると亀田父をモデルにしたキャラクターらしいです。
もともと監督畑の映画人ですが今後の活躍にも期待しております。

グロなバカ映像を見させられることに不安があった人。
逆にその映像に期待した人は沢山おられるのではないでしょうか。
しかし本作、シチュエーション・ホラーとしても十分見れる映画と
なっています。

“ムカデ人間”となってしまったあとも、各々の演技のお陰でさほど
退屈する時間はありませんし、クライマックス時に再び緊迫感が訪れる
まで、割りとスムーズに楽しむことができました。

あ、もちろん見る人を選ぶ作品ではあるので注意が必要ですよ。

贅沢を言えばもうちょっと”ムカデ人間”らしさ、またはこの余りにも恐ろしい
ハンディキャップを活かしたシーンが多ければさらに色のついた作品になったかも。

ただしかし…なんとこの”ムカデ人間”は全部で3部作構成とのこと。
続編はすでに各映画館で上映禁止の超問題作とのこと。
本編終了後の予告編の時点で結構怖いんです。

日本ではDVDスルーでしょうか?
なんていうか…楽しみかも。



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