許されざる者

許されざる者
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許されざる者 [Blu-ray] 許されざる者 [Blu-ray]
(2010/04/21)
クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン 他

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★★★★☆

1880年、ワイオミング。過去に強盗や殺人で悪名を轟かせていたマニーは、
今では銃を捨て2人の子供と農場を営みながら密かに暮らしていたが、
農場の不作の上、妻にも先立たれ苦しい生活だった。
そんなマニーのもとにスコフィールド・キッドという若いガンマンが訪ねてくる。
彼は娼婦に残酷な傷を負わせた2人のカウボーイを倒して、賞金を得ようと考えていた。
一緒に組もうと誘われたマニーは11年ぶりに銃を手にするが…。

おじさんバンザイな西部劇。

この映画には2種類の見方があるような気がしました。
長い期間”娯楽”を目的として造られていた西部劇をシンプルに楽しむ見方。
あとは筆者やイースト・ウッドからのメッセージを考える見方。かな。

私は圧倒的に前者でした。
『映画のゆとり世代』である僕は西部劇にあまり親しみがなく、より近代的な
エンターテイメント作品にしか触れる機会がなかったからでしょう。
なので今回はあからさまにゆとりレビューになってしまいます。

さて、西部劇は日本で言えば”暴れん坊将軍”、”水戸黄門”、”座頭市”。
月光仮面に桃太郎侍に必殺仕事人にブツブツブツブツ…。
ある暴挙に包まれた人間や街をさすらいのアウトローが救世主として現れ、
最後には銃の硝煙のように風に消えていく。。。
(将軍様やご老公様がアウトローかといえばそうではないけど…)

この映画での悪代官役、ジーン・ハックマンの暴挙さといったらもうね。
彼の悪役には知性や真の冷酷さを感じさせられるのでゾクゾクします。

元アウトローという設定のイーストウッドとモーガンが素晴らしい。
前半のイーストウッドの「無法者を引退してるっぷり」も良いし後半の
「悪鬼」っぷりもかなり目を奪われます。
昔の相棒であるモーガンの「もう人は撃てなくなっている」という心境変化も
彼のそれまでの人生を物語ってくれました。

悪とはなにか、私刑としての断罪は正しいのかどうかということはあるんですが
ラストを見る限りでは主人公に救われた人は確かに大勢居ます。
大筋ではヒーロー的西部劇でありながらも各キャラクターの背景を色濃く出すこと
によって随分観客に対するメッセージも強くなっているじゃないでしょうか。

西部劇好きな友人に言わせれば『傑作であり西部劇の終着点』なんて言葉も。
ベテランから見れば演者の活躍や演出以上に感じるものがあるのでしょうね。
みなさんはどう感じられたんでしょうか?

個人的にはエンドロールでの”めでたしめでたし感”はちょっとどうかと思うんですが。。。



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