ザ・フィールド

ザ・フィールド
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ザ・フィールド [DVD] ザ・フィールド [DVD]
(2012/03/02)
デヴォン・グレイ、ウェス・チャサム 他

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★★★☆☆

ドライブを満喫していた5人の男女の車が大量のカラスの追突で事故を起こし大破した。
それはこれから起こる恐怖の連鎖の前兆だった。気が付くと仲間の1人の姿が見あたらない。
辺りを見回すとそこにはトウモロコシ畑に囲まれたひとけのない街の校外。
視界が遮られたトウモロコシ畑で日没と共に高まる恐怖。そして廃墟に灯る不気味な明かり…。
最悪のシチュエーションで悲劇は始まった。

案山子男シリーズを彷彿とさせるような感じですが、かなりの別物。
この手の作品にしては珍しく見応えのあるホラーでした。
突っ込みどころはいくつもあるにしてもこれは十分な当たり判定。

見渡すかぎりのトウモロコシ畑が舞台だけあってその閉塞感は抜群です。
アメリカンホラーでのトウモロコシ畑の使い道ってお決まりですよね。
ホラー以外のいろんな作品の中で使われる言わばレギュラー農作物さんです。
逃亡犯が逃げこむのも大抵トウモロコシ畑です。また時には宇宙人のいたずらで
不思議な形でなぎ倒されることも…ん?あれは稲穂か?麦か?

そんなトウモロコシ畑とその中心に位置する廃墟を舞台として、事故で
立ち往生した若者たちが案山子の姿をした謎の敵に襲われていくお話です。

今作はメンバーもなかなか独特で驚かされます。
ほら、通常「殺られる順番」ってのがあるじゃないですか。
そういうのを多分あえて外してくれた作品です。

案山子野郎の外見も不気味ですが、呪いによって与えられた能力が
なかなかに高くて絶望感を与えてくれますね。
この地に根付く呪いや怨念といったものが主軸になっているのでしょうが
そのあたりはあまり具体的には登場して来ません。
最初の案山子が誕生するときの動機や要因というのもまだ不明ですね。

映像的にはかなり正統派のホラーとなってます。
無駄なスプラッター表現や、気の抜けた笑いなどはなく、終始スリルと
恐怖心を煽るような映像が続いていきます。

そ の ぶ ん。
遊びが非常に少ないので退屈する人は退屈するでしょう。

私としては案山子さんの使い方もホラーとしての流れもそれなりの
レベルだったかと思います。映像も安っぽくないですし。

あとラスト。あれお気に入りです。
希望からの絶望感というか、セリフがなくても彼の無念さが伝わるよう。

最近のホラーだと、あやふやな終わり方や、端的な表現で続きを想像
させてくる映画が多いじゃないですか。
「ザンッ!」みたいな効果音と共に倒したはずの敵が起き上がったり、
倒したモンスターの欠片や子孫が登場するみたいな奴。

そうではなく、不気味かつ手が付けられない非情さを見せた上で
物語の幕を閉じさせたところは、Bクラスの映画としては上々かと。

かる~く楽しむのにはいい感じのホラーだと思いますよ。
個人的にはもっと暖かい時期に見たかったですね。



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