ザ・スイッチ
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★評価★★★★

2メートル近いおっさん殺人鬼と女子高生が入れ替わるという本作。
まだまだ新しいのにAmazonPrimeVideoで観られるなんて嬉しい!

主役となる二人はベテラン俳優ヴィンス・ボーン、コメディ俳優として名高く私も大好きな彼ですが、「ブルータル・ジャスティス」「デンジャラス・プリズン」「デッド・オア・ラン」などで見せてくれるシリアスさや狂気にはもうしびれます。
ヒロインであるキャスリン・ニュートンはあまり印象に残っていない女優さんでしたが、「スリー・ビルボード」「名探偵ピカチュウ」などに出ていたんですね。本作では可愛らしさとセクシーさ両方を見せてくれた素敵な彼女。今後も大作への出演に期待です。

冒頭、本当によくある感じのシチュエーションで映画が始まります。
しっかり暗く、不気味な演出を加えつつ、焦らすようなカメラワークが映画全体のセンスを物語っています。
出るぞ出るぞ、いやいつ出んねん!的なね。

ジェイソンシリーズのオマージュを組み込みながら凶悪で残虐、抜け目のない殺人鬼のキャラ立てを行っていました。

手配中のシリアルキラーが学園に!という流れとともに、よくある学園ストーリーが並行します。
やんちゃな男子学生や取り巻きを引き連れた底意地の悪そうな女、陰湿な教師などに目をつけられているスクールカースト下位の主人公が、それでも恋をしたり気のいい友人たちと日々を過ごす、というなんとも応援しやすいヒロイン、ミリー。
しかも父の死の悲しみも言えぬ中、それによりアル中で娘依存が強くなってしまった母の機嫌を伺いながら本当の自分をひた隠しに生きている。そんなミリーなのです。頑張れミリー。

ある夜、運悪く殺人鬼ブッチャーの標的となってしまった彼女、ブッチャーの手にする呪いのナイフにより、二人の体が入れ替わってしまうところから物語やそれぞれのキャラクターが大きく動き出します。

ホラー的な表現が多かった陰惨な序盤と比べ、体が殺人鬼の大男に変わってしまったミリーのコミカルさや、周囲のキャラクターとの会話や接触の面白さが際立ちます。
それもこれもヴィンス・ボーンの手腕というところでしょう。途中で可愛い女子高生に見えてしまう錯覚を誰もが楽しめるのでは無いでしょうか。

呪いを解き元の体に戻りたいヒロインが四苦八苦しながら奔走する一方、セクシーな面持ちで狂気の殺人を繰り返すブッチャー。
といっても、いい具合に同情しづらいキャラクターを始末して回りますので半分応援もできちゃう不思議な展開でした。
ブッチャーからしても2メートル級の体と怪力を失い、非力な女子高生になってしまっているわけなので不便も多そうでした。

一度笑いだしたらホラーとしての楽しみ方は難しいですが、てんやわんやの駆け引きや、おなじみなご都合主義などとあわせてドタバタ激を楽しむと良いのではないでしょうか。
「ザ・ベビーシッター ~キラークイーン」「ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ」「ハッピー・デス・デイ」など、超超大好きなスラッシャーコメディ。
更に良作に出会えるよう期待に胸も膨らみます。

ネタバレ

おまけのようなラストより、中盤の面白さを伸ばしてくれると良かったな~。
でも、これはこれで起承転結+αとしてきれいなのかな。母親とちゃんと話す時間もストーリーを押さえる時間として必要だったのかもですね。

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