リトル・シングス
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★評価★★★★

大好きなデンゼル・ワシントン主演作品、尚且つ大好きな猟奇犯罪サスペンスということもあり楽しみにしていた本作。
いつの間にかNetflixに登場していてびっくりしました。

ダブル主演となるのは「ボヘミアン・ラプソディ」「パピヨン」などで主演のラミ・マレック。
ボヘラプの影響力と好演のせいで作中もいろんな表情がフレディにしか見えず、、しかしながら濃厚な後半へ向けて素晴らしい表現力を見せてくれました。
若手生え抜きの刑事役、めちゃ良かったです。

デンゼル・ワシントン演ずる元高検挙数の敏腕刑事で現在は保安官補佐、という明らかにワケ有りの主人公も陰だらけで雰囲気を締めてくれていました。
二人が追うのは米国内の広い範囲で殺人を繰り返しているであろう猟奇殺人犯。
作中でも語られますが現状容疑者もおらず、情報の割り出しがほとんど進んでいない不気味な犯人像を追跡します。

ほぼ偶然な流れで古巣の捜査協力をすることになったジョー(デンゼル)ですが、かつて事件を追うあまりに家庭も自らも崩壊に追いやった狂気を再びまとい始め、少しずつその心の闇に周囲も飲み込まれていきます。
出会った当初はイメージが悪く反目し合うかと思われたジム(ラミ)とは不思議な馬が会ったのか、好奇心や尊敬からかタッグを組む形で犯人像を追いかけます。
犯行現場、犯人像のイメージ、被害者の情報の共有、こうした素材を共有する中で、ジムは明らかに当時のジョーのように事件への病的なのめり込みを見せていきます。

半ば乱暴で危うい捜査方法にもあっさり手を出していくところや、仲間へのあたりがきつくなっていくのもそのせいでしょう。
決して悪人ではなく、被害者の無念を果たしたいという強い思い、その反面、そのエゴイズムにも頭を悩ませて行く不器用な様はボヘラプのフレディも彷彿とさせます。

捜査のなかで最有力な容疑者候補として浮かび上がったスパルマという電気店作業員。
浮かび上がったと言うよりかは浮かべるしかなかった、強引な流れの中で彼という容疑者を作りたかった、そういう主役刑事二人の意思も感じました。

ただ、まじでこいつちゃうんか、こいつでええやんけ、というぐらいのキチっぷりで最有力容疑者怪演していただいたのは「スーサイド・スクワッド」「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャレット・レト。
ただでさえ目に光がやどりにくい表情の彼(失礼)ですのでこういう闇だらけで得体のしれない役をやらせるとピカイチですね。
若い頃はそれでも笑うと可愛らしいところもあった記憶ですが、この映画では完全にやべーやつです。

明らかに金のある生活にも見えないのですが、健康的にも見えますし車も上等です。
シボレー・ノヴァでライムグリーンとか普通にカッコイイです。当時の向こうでは高級車ではないのかな?
刑事に容疑者として目をつけられていることを喜び、弄ぶかのようなキャラクター。
狂気のサイコパスキラーにも見えるし、ただ単に警官をおちょくって楽しむ犯罪マニアの前科者にも見えてしまうのが今作の面倒な部分です。
家の中はキッチン含めて意外に整頓もされているところなども「割と健全な生活なのでは」と思わせてくる意地悪な演出ですよね。

突然「向こう」から現れるクライマックス、翻弄された刑事の行き着く先は。。

ネタバレ

挑発的で軽薄な犯人にかっとなったジムが容疑者アルバートをべこっと殺っちまったことで物語は急激な収束へと向かいます。
自らの過去を思い返しながら冷静に「刑事による容疑者殺し」を隠蔽するジョーとそれを受け入れざるを得ないジム。
焦燥し、今後への視点も定まらなくなっていたであろうジムに対し、最後には救いの一手を売ったジョーですが、そこに救いは少なく、ジメッとした作品でした。

同じ手口で新たな犯行が報道されたら二人ともどう思うんでしょうね?

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