ブラッド・スローン

ブラッド・スローン
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★評価★★★★

「ゲーム・オブ・スローンズ」などでも有名なニコライ・コスター・ワルドー主演のバイオレンスドラマ映画。

物語冒頭で映し出されるのは見るからにタフな囚人の仮釈放シーン。
元囚人仲間であろうギャングの一団と合流した主人公"マネー"は出所祝も兼ねたパーティーに参加。
祝いの場には相応しくない陰鬱な表情で、常に何かを考えているよう。
最中、何者かに会場が銃撃され散り散りになるギャング。彼らの危険性や主人公を取り巻く劣悪な環境が見て取れます。


随所で差し込まれる回想シーンでは、主人公"マネー"、本名ジェイコブが順風満帆な生活を送っていた頃の映像、そして飲酒運転かつよそ見事故で同乗者を死なせてしまい、その罪で収監される様が映し出されます。

凶悪犯罪者が蠢く刑務所内、無事に明日を迎える為のルールが必要でした。
社交的で家族思いなジェイコブという人間の人生は、全く違ったものへと変貌していきます。

リッチマンだったとはいえ、もともと兼ね揃えていたタフな体と交渉術、敵対グループとの暴動のさなか流れで身内の命を救うなどしたジェイコブは次々と出世し。監獄内でのボス"ビースト"からも一目置かれる存在となります。

彼が変貌していくたびに髭・筋肉・タトゥーが増えていくのも切なく面白い。

そして話は現在、"ビースト"からの絶対命令として大量の武器の密輸取引を牽引する"マネー"は警察の監視や仲間の動きにも目を払いつつ任務を遂行していきます。
悪を極めんとする反面、物語の随所で見られる消えない家族愛。彼の辿り着く先には何がまっているのか?

非常に濃厚で骨太な本作!監獄映画としてもギャング映画としてもとても良作です。
役者も濃ゆく、全体の雰囲気も秀逸です。

注意点としてはみんなタフガイですので誰が誰?とならないように注意深く見ておく必要があります。
また、主人公ジェイコブが"カネ男"という呼称から"マネー"というリスペクト付きのあだ名になるように、ギャングのメンバーがあだ名だったり名前だったりシーンによって変わることがあるのでこのあたりも気を抜かず見ておきたいところ。

ネタバレ

冷静に、冷酷に準備をしながら迎える取引当日。
何故か彼は警察へ情報をリークするなどで取引を失敗させます。

程なく再収監される彼が対峙するのは監獄の主ビースト。
全ては家族の命を掌握していたビーストを自らの手で始末するための策略だったのです。
結果新たなビーストとなった彼でしたが、暗く冷たい監獄の中でも、わずかに残る家族との絆が生きる活力を与えていくのでした。

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